~掃除道に生きる~田中義人ブログ

  • ある社長からの質問に応えて

    2003年12月01日

    先日、ある社長から、社員20名ほどで衣料品の小売店を経営しているが、昨今、売上が停滞し、社員もやる気がなく、「もっとお客様に元気よく接しなければダメだ」といくら口ですっぱく言っても、おざなりの返事が返ってくるだけで動こうとしない。私自身も自信喪失気味で、どうしたらよいのか分かりませんので、アドバイスをとのことでした。

    この質問に関して、下記のようなアドバイスをいたしましたが、いかがでしょうか。

    社長の話しを聞いていて、社員の顔色ばかりを伺っていて、経営の根本となるところに手が打てていないと思いました。また、業績の方もかんばしくありません。

    よく昔から組織を構成する人の意識分布として、2:6:2の法則があると言われています。全体の2割はよく働くが、後の2割はさぼろうとし、その他の6割は、その2割の強いほうの影響をうけると言われていますが、この会社は、不景気をよいことに、悪い方の2割に全体が引っ張られていて、マンネリ化した怠惰な雰囲気がただよっているように感じました。

    そこで、まず最初に自社の経営状態を数値にして、現状をしっかりと見る必要があるのではないでしょうか。特にB/S.P/Lを分析し、このままの状況で経営が続けていけるのか、社員の人たちにも理解できるように説明することです。そのポイントは、粗利益と経費の動向から近未来を推測することも必要と思います。その上で、社長は、どのようなお店にしていきたいのか、そして、本当にお客様に喜んでもらえる店づくりと誇りを持って働けるようなお店にしたい思いを語るべきだと思います。

    その為に具体的に行うことは、まず「トップ自らが、なってほしい社員像を自ら演じてみせること」だと思います。私ならば、まず最初に「お店みがき」を始めます。お店の周囲から店内まで、徹底的に開店前1時間半、掃除を行います。そして、特に店内の整理・整頓・清掃・清潔感には気を使います。

    その上で、開店のシャッターを開け、元気で気持ちのよい挨拶でお客様を迎えるようにいたします。次に、毎月、月次決算を行い、経理を公開し社員勉強会を開催いたします。その中で、前月の成果と反省点を社員を交えて意見交換し、情報を全員のものにし、具体的な商品戦略や販売方法を考えてみたらどうでしょうか。

    人間は、傍観者でいるととかく物事を比較、不平、不満の目で見ますが、一旦当事者になりますと自らの行為をかばい、反省と工夫を始めるものです。いかに社員を当事者にしていくのかが、これからの経営のポイントと思います。

    ただし、最初から全員の社員の人たちが賛同してはくれません。最初は社長がまず実践し、賛同してくれる社員一人を見つけることから初めてください。そして、半数の社員が社長の思いに賛同し行動を共にしてくれたら、大成功ですから、その日を楽しみに率先垂範で行ってみてください。トップ自ら理念を掲げ、社員の働きやすい環境づくりに尽力し、その上で店の具体的方向付けをしますと社員の人達も、不思議とよく働いてくれるようになるものと思っております。

    そして、これらのことが出来るようになっても、先が見えないような状況でしたら、業態変更も考えて次の手を打たれたらどうでしょうか。

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