~掃除道に生きる~田中義人ブログ

  • 田中春雄会長の独り言

    2012年12月01日

    生前、田中春雄会長が、私たち家族に何度もつぶやいていた言葉があります。

    「おばちゃんをつくらんで、よかった。」
    「株をしなかったで、よかった。」
    「大きな借金をしなんで、よかった。」

    これは、亡くなる時まで独り言のように話していた言葉ですが、会長の体験から身に付いたもののようでした。

    会長の実家は、当時、町一番の米問屋を営んでおり、とても豊かな生活を送ることができていたそうです。しかし、事業を継いだ父親が放蕩息子で、女遊びに興じ、株や先物取引をして、仕事に身を入れることなく遊び惚けてしまいました。その為、まもなく店は倒産し、家も差し押さえられ、総ての財産をなくしてしまいました。

    その後、なんとか屋敷の隅に小さな小屋を建ててもらい、母親と極貧の少年期を過ごし、その苦しさを身をもって体験したそうです。

    その体験から出た言葉のようですが、私たちが円満な家庭をつくり、健全な経営を続けていくことの重要なポイントでもあると思いましたので、紹介します。

    「おばちゃんをつくらんでよかった」

    会長の父親の女遊びは、母親を泣かせ、家庭を壊し、店を駄目にした大元でしたので、絶対にしてはいけないとの思いがありました。会長は、女房の政榮さんを心から愛し信頼し、何でも話し合っては、夫婦付随でナカヤマを作り上げてきました。

    家庭も会社も、夫婦の絆があってのこと。女遊びほど夫婦の絆を壊す怖いものはないと思いました。

    「株をしなかったで、よかった」

    会長の父親は、株屋に勧められて株や先物取引をしたそうで、最初の取引で儲けたことに味をしめて、それから株の世界に入りこんでしまいましたが、気が付いた時には、抜けられぬほどの損を抱え込んでしまいました。

    経営者は、株で儲けるのではなく、どこまでも本業で儲けることが大切だと、よく話していました。

    「大きな借金をしなんで、よかった」

    会長は、亡くなる一ヶ月前まで、毎日、ナカヤマの預貯金と借入金表を見ていました。そして、そのバランスが取れていることを大変喜び、「大きな借金をしなかったので、よかった」と繰り返し話していました。

    会社は、大きなことがいいのではなく、資金繰りに困らないことの方が大切だと教えてくれました。

    これからの厳しい時代を前に、「女房を大切に」「本業に徹し」「バランスを持った経営をしろ」。これこそが、健全経営の源との会長のつぶやきが、遺言のように聞こえてきます。

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