~掃除道に生きる~田中義人ブログ

  • なぜ、真言碑を建立したのか

    2026年04月08日

    坂村真民先生の「念ずれば花ひらく」の真言碑は、全国に七百基以上、さらに海外にも建立されています。その中でも、当社の前庭に建立されている真言碑は、258番目に建立されたものであり、世界一高い真言碑です。

    今回は、なぜこのような大きく立派な真言碑を建立したのか、その理由を述べさせていただきます。

    真言碑 念ずれば花ひらく

    昭和四十四年、父・田中春雄が、東京の神栄工業株式会社(プリント配線基板製造販売)が東海地方で下請企業を探しているという話を聞き、「大学を出て帰ってくる息子にその仕事をさせたい」と、当時の宮崎亨社長にお願いしたことが、東海神栄電子工業株式会社の出発でした。

    資本金四百万円、社員七名、百坪のスレート張りの工場に中古設備、という小さなスタートで、仕事はすべて神栄工業からの小ロット品が中心でした。当時二十二歳の私は、経営の知識もなく、人を使った経験もありませんでした。ただ親会社から発注される製品を、社員と共に現場に入って必死にこなす毎日でした。

    朝は誰よりも早く出社し、日中は現場で働き、夕方にはその日の製品を運送業者へ届け、夜は事務仕事と翌日の段取りをして帰宅する。そんな毎日で、家に帰るのは夜九時過ぎが当たり前でした。それでも、完全下請けという立場の中で、仕事量はある程度保証され、数年後には社員三十名ほどの規模にまで成長しました。

    しかし、第一次オイルショックが起こると世の中は大混乱となり、当社の仕事量も一気に20%ほどまで落ち込みました。

    もともと親会社からは、「神栄工業のULを使う関係で、神栄工業以外の仕事はできないが、どのような事態になっても仕事は保証する。」と口約束をいただいていました。そこで私は、この苦境を乗り越えるため、神栄工業本社へ出向き、仕事を出していただけるよう懇願しました。ところが、返ってきた言葉は「ないものはない。苦しいなら社員を整理してくれ。」、というあまりにも厳しいものでした。私は悔しさを胸に、その場を後にするしかありませんでした。

    そんな苦しい時期に救いとなったのが、菊水化学工業の遠山昌夫社長(当時)が開かれた青年経営者研修塾に、一期生として参加できたことでした。遠山先生のもとで、経営者としての生き方を徹底して学ぶ機会を得ました。

    中でも、「現状を受け入れ、なにくそ根性で、ひたすら理想を求めよ」という教えは、その後の私の経営人生を大きく変えるものでした。

    私は、親会社に将来を委ねることはできないと悟り、「いつか必ず独立する」と心に決めました。しかし、親会社のUL規格を使っている以上、簡単に独立できる状況ではありません。それでも、坂村真民先生の「念ずれば花ひらく」という言葉のように、大きな目標を真剣に掲げれば、そこへ通じる道は必ずあると信じ、あらゆる情報を求めて動き始めました。

    まず取り組んだのは、UL規格に触れない国内向け製品の仕事を探すこと。さらに、同業他社から下請け仕事を受ける道を広げることでした。経営はなお厳しく、徹底した経費節減を行っても、状況は最悪に近づいていきました。しかし、「いずれ独立する」という強い決意があったからこそ、道は少しずつ開けていったのだと思います。

    そんな中、春日井にあった同業の愛工機器株式会社からの情報が伝わってきました。

    愛工機器株式会社は、高度なプリント基板の製造に特化するため、社内で手がけていたUL規格に関係のない片面基板製造を、外部に委託する先を探していたのです。この情報を出入りの業者から聞いた私は、即座にその仕事を受ける決意をしました。

    それまで神栄工業の下請けとして単価の安い仕事をしていましたが、愛工機器からの仕事を受けることで、十分な収益を確保できる見通しが立ちました。こうして神栄工業の下請けから撤退し、独立への第一歩を踏み出すことができたのです。

    この独立を機に、私は社員と共に未来への夢を持つことができるようになりました。営業部門を持つこと、新しい設備を導入すること、冷暖房完備の工場を建てること、新卒者が来てくれる会社にすること、社員教育を大切にするため研修センターを建てること。そうした目標を掲げ、会社は新たな歩みを始めました。

    私は、経営で最も大切なことは、「経営者の燃えるような熱意に裏付けられた行動が、道を開く」ことだと実感しています。そして、この思いを最もよく表してくれているのが、坂村真民先生の「念ずれば花ひらく」の詩でした。私はこの言葉に心から感動し、その精神を自分自身の信念として、また社員にも伝えたいと願って、大真言碑を建立することにいたしました。

    真言碑 念ずれば花ひらく

    さらに、その側面には、「念彼観音力」の言葉を刻んでいただきました。この言葉は、私にとって単なる祈りではなく、困難に直面しても常に求めるものを明確にし、世の中をよく見て、情報を集めて行動するための指針です。

    この真言碑を建立したのは、「人生は目標を持って歩むところに、必ず道が開ける」ということを、後に続く人たちへ伝えたかったからです。苦しい時も、悔しい時も、強く念じ、正しく行動し続ければ、必ず花はひらく。そのことを、この碑を通して伝え続けていきたいと思っています。

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