今から35年ほど前、研修センター(写真)を建設しました。その屋根は、ピラミッドを思わせる台形の形にしました。今回は、なぜこのような研修センターを建てたのか、その思いをお伝えしたいと思います。
今年、東海神栄電子工業は創業57年目を迎えました。創業から前半の時代は、神栄工業の下請けから脱却し、自社営業を持つことが最大の目標でした。しかし、当時は利益も少なく、十分な給与や賞与を支給できず、社員の離職率の高さに悩んでいました。
私は「利益さえ出れば社員の待遇も改善され、人も集まる会社になる」と考え、利益第一で経営に取り組みました。幸いにも、日本の高度経済成長とお客様の受注拡大の波に乗り、会社は増収増益を続けました。新工場の建設、臨時賞与の支給、待遇改善、新卒採用と、会社は急成長していきました。
しかし、その一方で難しい仕事は外注に頼り、自社で技術を磨く努力を怠っていました。外から見れば立派な会社でしたが、実際には、目先楽な方に流れる体質となり、社員の成長も十分に感じられない状態でした。
その後、1991年にバブル経済が崩壊し、日本の家電・繊維・軽工業の多くが中国へ移転しました。当社も環境に支えられて成長してきた反動を受け、大きな試練に直面しました。
そんな時に出会ったのが、イエローハット創業者で当時社長をされていた鍵山秀三郎先生でした。そして、出逢いからすぐに、社内に掃除を取り入れることになりました。
掃除活動を続ける中で社内風土は大きく変わり、社員が自ら職場をよくしたいとの思いが強くなり、新しい技術の習得や工程改善、設備導入に挑戦するようになりました。その結果、民生用家電向けプリント配線基板メーカーから、ロボットなど産業用機器向けプリント配線基板メーカーへと大きく転換することができました。
私は、企業体質を強くするためには、次の三つが欠かせないと考えています。
① トップの熱意と強い意志(念ずれば花ひらく)
② トップと社員との信頼関係
③ 共に成長を目指す戦略と参加型経営
そして、この三つを具体的に実践するために取り組んだのが、この二つでした。
① 社員の意見を十分に聞き、納得性を高める「秀観塾」
② 毎朝の全社掃除活動
私は「人間は感情の生き物である」と考えています。共に汗を流し、職場を美しくする掃除は、人と人との絆を深めます。
会社づくりの土台は、この二つの実践にあると確信しています。トップが社員と共に学び、共に掃除を続けることで、どのような環境変化にも耐え、成長できる会社になる。その思いを形にしたものが、この研修センターの屋根なのです。
これからも、時代は大きく変化していくことでしょう。しかし、「自分を大切にしてくれる会社」「自分を活かしてくれる会社」には、自然と愛着を持ちます。
これからも、社員一人ひとりが「自分の会社」「自分の仕事」と思える社内風土を築き、未来へ向かって共に成長していける会社であることを願っています。




